■ロバート・クラウダー賞の創設
【趣旨および経過】
趣旨および経過
この賞は、ロサンゼルスの画家ロバート・クラウダー氏の会社経営を継いだ棚野泰全氏の意向により、本院に創設されることになりました。
ロバート・クラウダー氏は、日本の自然や文化に対して、深い理解と愛情を持っていました。
22歳の時、音楽と英語の教師として平壌に赴任し、夏休みに日本を訪れたクラウダー氏は、自然の美しさや文化の豊かさに感動し、長く日本で暮らすことを考えるまでになったとのことでした。
音楽家としての教育を受け、絵を描くことが好きだったクラウダー氏は、日本画院創立同人の一人である日本画家望月春江から日本画を学びました。春江の自宅画室(当時は本郷区千駄木)を訪れ、直接指導を受けたとのことです。
その後、クラウダー氏は、熊本の旧制五高に英語教師として赴任し教鞭を取っておられましたが、太平洋戦争の勃発と共に収容所に送られ、1943年の捕虜交換船でアメリカに送還されました。
クラウダー氏は、戦後、ロサンゼルスに手描き壁紙と手織物と室内装飾の会社を設立して成功をおさめました。雅号を「黒田正次(しょうじ)」とし、広いアメリカのインテリア空間に合わせた屏風や壁紙を描き続け、1960年代には、“クラウダー屏風”と称される程になりました。
99歳で亡くなるまで、仕事の傍ら油絵や版画も制作し続けました。
クラウダー氏のそうした思いを深く理解していた棚野氏は、師と仰ぐ望月春江創立の日本画院にその名を冠した賞を設けることを提唱して下さり、協議の結果、創設の運びとなりました。
これにより、日本画家としてのクラウダー氏の顕彰とともに、日本とアメリカの文化における架け橋となること、また、よりグローバルな環境の中での研修を通して、気鋭の作家が生まれることを期待したいと思います。
一般社団法人 日本画院
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【賞の内容】
○ロサンゼルスでの滞在研修
日本-ロサンゼルス間の旅費(往復航空券)の支給
宿舎・アトリエの無償提供
○滞在期間 3ヶ月以内(日本人のビザ無し滞在可能期間)
○選考方法
毎年の日本画院展の審査による。
○該当者数 1名
○英語の学習については、本人の責任で習得すること。
○提供 ロバートクラウダー基金
○その他 研修内容等については、棚野氏および日本画院事務局と相談の上、決定。